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【2021.11.17更新】

Reconsideration(再考論) 第9回で取り上げたノイズメタルバンド、WILL HAVEN ( https://grindhouse.site/reconsideration_part9_willhaven/ )の記事続編として、2002年6月のExtreme The Dojo Vol.4に参戦することで実現した初来日時の対面取材記事をArchive公開する!2002年7月31日発行のGrindHouse magazine Vol.13に掲載したものだ。

取材/文・有島博志
通訳・吉田香織
写真・岸田哲平


US西海岸サクラメント産の不可思議なノイズ放つ轟音 & 轟重バンド、日本の地を踏む!!

WILL HAVENは、前から一度向かい合って話を聞きたかったバンドのひとつ。そしてライヴもきちんと観たかった(1997年暮れにニューヨークでDEFTONES、LIMP BIZKITのサポートでちょっと観たけど、こんなの観たうちに入らん:苦笑)。そんな想いが、今や恒例となった「Extreme The Dojo Vol.4」で初来日が実現、その想いは一気に成就した。東京公演当日、彼らがステージに上がる前、メンバー全員に話を聞くことができた。ライヴも噂にたがわぬ凄まじいものだった。

ーー初来日ですけど日本の印象は?
ミッチ・ウィーラー(ds)「スゴく混雑してるね(笑)。だけどみんな親切。楽しいよ」
グレイディ・エイヴネル(vo)「いろいろ見るものがあり興味がつきないよ。また戻ってきてじっくり味わいたいね」
ミッチ「渋谷まで電車できたけど、その電車がクールだった」
ジェフ・アーウィン(g,piano)「とにかく広告が至るところにあるよね」
ーー実はアナタたちのライヴを5年前にニューヨークでホンの少し観たことがあるんです。
全員「Wow!!」
ジェフ「それってDEFTONES、LIMP BIZKITらと一緒のヤツ?」
ーーええ。まだオープナーとしての出演でした。あの頃に比べれば、こうして日本にこれるなどバンドは大きく成長しましたね。この5年間をどう捉えてますか?
グレイディ「音楽的な進歩はあったと思う。それに、新しいドラム(ミッチ)が入りさらに飛躍できた。この5年間でたくさんのバンドや、いろんな場所を見てきた。経験が豊富になったよ。バンドが世間でより知られる存在にもなってきたし」
ーー過去何度かサクラメントを訪れたことがありますけど、正直言って田舎町じゃないですか。そこから外に飛び出したいっていう願望ってありましたか?
グレイディ「もちろん。いつまでも地元でセコセコやってたいなんて誰も思わない。確かに小さな田舎町だから、外に飛び出し、ほかの街や国でライヴができるのはエキサイティングだ。行った先の人と会い話すのも面白い」
ミッチ「オレの夢はバンドで世界中を旅して回ることだった。今、その夢が叶ったよ」
ーーサクラメントと言えば、DEFTONESやPAPA ROACHなどを輩出した町ですけど、アナタたちは彼らと同じシーンから出てきたんですか?それともでどころが違うとか?
グレイディ「DEFTONESが今ほどビッグになる前はシーンがもっと小さくて、みんなが近しい感じだったけど、今はバンド数も増え、しかもDEFTONESの二番煎じのような連中がたくさん出てきてる。以前ほどみんながみんな、仲がいいというわけじゃないみたい。しかもDEFTONESはあまり地元じゃライヴをやらないから、最近はバンドを観にいってないな。オールエイジでできるまともな会場がひとつあるけど(年齢制限なしのライヴ会場)、住宅地から相当離れた場所にあるからキッズが気楽にいけるわけでもない。ダウンタウンではコーヒーショップやバーでライヴができたりするけど、最近はあまり流行ってないらしい。シーンが徐々に元気を失ってきてるのは事実だよ」
ーーそのサクラメントで、バンドはどのように結成されたんですか?
グレイディ「実はジェフとは小学校からの付き合いでね。マイク(・マーティン/b)とは中学校のときに出会った。だからオレとジェフとマイクはかなり昔からの仲間だ。ジェフとオレは別のバンドを組んでて、そのバンドが解散した後も音楽を続けたかったんで、マイクと友だちに紹介してもらった元のドラムの4人でWILL HAVENを始めたんだ。1995年のことさ。で、元のドラムが辞め、今のミッチとはバンド同士のつながりで知ってて声をかけ、こっちに入ってもらったんだ」
ーーバンド名に特別な意味はありますか?
グレイディ「イヤ、ただオレが考えついた名前なだけ。特に意味はない。メタルやハードコアバンドって、よくタフガイっぽい名をつけがちだよね。そういうところで少し違いを出したかったんだ。だけどWILL HAVENってタフに聞こえるかな?(笑)」
ーー結成7年になりますけど、今のサウンドに到達するまでにどのような音楽的変遷を踏んできたんですか?
マイク「かき鳴らすのみから、ダウンストロークへ(笑)」
ジェフ「そうだね(笑)。それは冗談としても、ミッチが入ったことで確かにサウンドは少し変わったかも。基本的には作品ごとに実験を繰り返してきた。だから今でもちゃんとしたサウンドって定義されたものはないかも。レコーディングするたびに新しい試みに挑戦してる。ガイドラインは特にない。直感に任せてる。絶えず変化し、発展することを意識してる。ミッチ加入後、さらに新しいステップにいくことができた。自分たちで飽きないように常に変化を心がけてる。新作『CARPE DIEM』は個人的には今での作品のなかでベスト作だと思うけど、かと言って、過去の作品はまたそれぞれ別のものだ。統一して考えてないんだ。作品ごとの特徴があるし、常に実験スタイルだからね」
ーーメンバーそれぞれどんなアーティストに影響されてきたんですか?
グレイディ「NEUROSISは大好きだけど、WILL HAVENの活動に影響してるかどうかは自分でもよくわからない」
ミッチ「オレはなんでも聴くけど、グレイディが今言ったように、自分のプレイに果たして影響を与えてるのかよくわからない。ただ、音楽をやりたいというふうにインスパイアしてくれるのは確かだけど。CONVERGE、NEUROSISなどヘヴィなバンドはもちろん好きだけど、ほかにビヨークも大好きさ」
ジェフ「オレもミッチと一緒で、基本的に音楽ファンだからいろんな音楽をむさぼり食うように聴く。影響とは言えないかもしれないけど、SEPULTURAからビヨーク、モーツァルトからジョン・コルトレーン、加えてドラムンベースにヒップホップと挙げてたらキリがない。音楽と言われるものならなんでも一度は聴いてみる。ただ、子供の頃からヘヴィミュージックを聴いて育ってきたから、自分のなかから出てくるものがヘヴィなものになったりする。ライヴでプレイするならヘヴィミュージックが自分にとって一番気持ちいい。一番最初に夢中になったのがヘヴィミュージックだったから」
マイク「最初はハードコアだね。たとえばINSIDE OUT(RAGE AGAINST THE MACHINEのザック・デ・ラ・ロチャが昔在籍してたバンド)、EARTH CRISIS、NEUROSISなど。NEUROSISの『ENEMY OF THE SUN』(1993年)を初めて聴いたときからずっと虜になってる。ノイジーで実験的で。今でもよく聴いてる作品だよ」
ーーじゃ最後に最近作『CARPE DIEM』を振り返ってみて。
グレイディ「誇りに思える作品だね。今までのなかでオレのフェイバリット作かな。レコーディングのプロセスも楽しかったし。オリジナルドラム(ウェイン・モース)が突然脱退したから少し大変だったけど。だけどすぐにミッチがきてくれたから助かった。ミッチが加入してくれたおかげで、曲にまた新たなテイストを加えることができた。バンドにとって新たなステップが踏めた作品となった。ミッチのドラムはそう悪くはないからね(笑)。とにかく音楽的にもリリックの面においてもスゴく満足してる」
ジェフ「サウンドもスゴく気に入ってる」
グレイディ「それに、ジャケットにいい女が写ってるのもいいよな(笑)」

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