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【2021.11.15更新】

文・有島博志

通算7枚目の新作『BULLET FOR MY VALENTINE』を発売、世界各国て好反応を得、さい先のよい出足を見せてるBULLET FOR MY VALENTINE。それを祝して、GrindHouse magazineにかつて掲載した記事をここに再公開する。GrindHouse magazineが商業誌だった頃に、“Out side & Inside”という連載をやってた。“Outside”、つまり外見、ファッション。そして“Inside”、つまるところの自らのファッション、外見をどう思い、なにかこだわりはあるかを聞く内容だ。2008年に実現した3度目の来日公演時にマシュー・“マット”・タック(vo,g)に話を聞き、2008年7月31日発行のGrindHouse magazine Vol.49に掲載した。

取材/文・有島博志
通訳・湯山恵子
写真・神戸健太郎


服を買いにいくヒマがあるなら、スタジオで曲を書く!?マットのファッションへのこだわりとは?

新作『SCREAM AIM FIRE』がなお好セールスを更新し続け、ツアーもどこもかしこも盛況と、まさに絶好調のBULLET FOR MY VALENTINE。5月の再来日のときも「また日本にくることができてとてもうれしいよ。最高の気分さ!楽しい滞在になってるよ」と、普段あまり表情を崩さないマシュー・“マット”・タック(vo,g)が、満面の笑みでこう言ったほど。彼のファッションに対する思いを聞いた。

ーーオンでもオフでも、バンドTシャツ+デニム+スニーカーという出で立ちが多いね。
「ほとんどそう。今日はたまたま、バンドTじゃなく、“CRIME”と描かれたヤツだけど(笑)。アメリカのスーパーWalmartで、12ドルで買った安物さ。いつもツアーに出てるから、バンドTは山ほどある。ほかのバンドと交換したりするからね」
ーー山ほどって…その量、スゴそう(笑)。
「自宅のクローゼットなんて、まさに恥辱の極みだよ(苦笑)。扉を開けると、棚は大量のTシャツで埋もれてる。帰ったら処分しなきゃ」
ーーじゃあ、「今日はあのバンドTシャツを着たいな」と思っても、すぐに探せないね。
「その通り!3列分くらい、すべて黒Tシャツだし、たたんであるから見つけにくい(笑)。だけどオレはファッションコンシャスじゃないから、細かいことは気にせず、手に取ったものをそのまま着てる」
ーーだけど、一応人前に出る仕事をしてるし、写真だ、ビデオだの、撮影もあるわけで、多少なりともこだわりとかあるでしょう。
「髪型を整えるのを忘れた日は、今日みたいに帽子を被るようにするぐらい(笑)。どっちにしろ、髪型にも気を遣ってないけど。オンでもオフでも、1年中同じ髪型だから」
ーーバンドのなかで一番ファッションコンシャスなのは?
「間違いなく、ジェイ(・ジェイムズ/前任ベーシスト)。アイツ、いつも鏡ばっかり見てる(笑)。少しシャツを直したり、ものスゴく気を遣ってる。まあ、オレもガールフレンドと出かけるときぐらいは、長袖のシャツを着たりするけど」
ーー確かにジェイって、会うたびにヘアスタイルが違う(笑)。
「オレたちはロックバンドやってんのに、アイツは髪ばっかいじってるから(苦笑)」
ーーだけど今の時代、ビジュアル面ってバンドにとって大事じゃない?
「やろうと思えば、いくらでもこだわることはできる。イメージコンシャスで、ビジュアル面を変えるバンドもたくさんいる。それもわかるけど、オレたちは服を買いにいくヒマがあるなら、スタジオで曲を書く。LOSTPROPHETSみたいにルックスにこだわることもできるし、FOO FIGHTERSのようにいつもカジュアルな格好だってできるんだ」
ーーお気に入りのバンドTシャツのトップ3は?
「なんと言っても、CANNIBAL CORPSEが一番!バンドに興味がなくても、あの身の毛もよだつような気持ち悪いイラストが最高さ。扁桃腺を切除した手術の日、オレは病院にCANNIBAL CORPSEのTシャツを着ていったんだけど、上からジャケットをはおるように注意されたよ。“待合室にいる子供たちが怖がるから”って(爆笑)。確かに、血が飛び散ってるイラストだった。続いてはMETALLICAで、次はSLAYERかな」
ーーLOW LIFEをはじめ、DC SHOESやATTICUSのより衣装提供を受けてるでしょう。
「うん、ライヴや写真撮影の際や、オフのときに着ることが多い。なかにはスゴく気に入ってるものもあるよ」
ーーデニムはブルーよりダーク系を履くことが多いよね。
「たいていダークなヤツ。あと今日のより、もっとピタッとしたタイトなヤツも履く。ブランドは特に気にしないね。Walmartで買うこともあれば、Dieselを買うときもある。価格帯も10ドルから1,000ドルと幅広いよ」
ーースニーカーはConverseのローカット黒一筋っていう気がするけど。
「そう、ここ4、5年はコレ1本。ライヴでも、写真撮影でも、コレ以外には考えられない。どうしてかはわからないけど、シンプルなConverseが一番。で、絶対にローカット。オレの足は細いから、ハイカットだと履き心地がよくない。パンツもタイトなものを履くし、色は黒だね。服も黒系が中心だから。スコティッシュ・タータンチェック柄のConverseも持ってるけど、アレを履くとパンクロックっぽく見えるんだよね」
ーー全身、かなりシンプルだよね。
「うん、シンプルっていうか、典型的スタイルっていうかさ(笑)。冬なんて、そのTシャツの上にパーカーやジャケットを着たりするぐらいだから。オレにはそれで十分さ」

ちなみに、ここにあるのはマットが28歳のときの想い、発言だ(現在41歳)。

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