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【2021.03.29更新】

EVANESCENCE’s cover issue

文・有島博志

初来日となった2003年夏開催のFUJI ROCK FESTIVAL参戦と、東京での一夜限りの単独公演から半年、2004年1月には早くもEVANESCENCEは再来日した。札幌、仙台を含む5都市を巡演、計8公演を行い、大成功のうちに終了した。東京はZEPP TOKYOで3夜連続で行われ、対面取材と写真撮影は東京初日公演の開演前にバンドの投宿先のホテルの一室で実現した。そのときの写真と、取材記事で2004年3月31日発行のGrindHouse magazine Vol23での表紙初登場を実施した。なにしろまだ1st『FALLEN』しか出てない時期だったので、同作からカットされたシングル盤からエイミーがゲスト参加した作品や、映画『DAREDEVIL』のDVDなどを網羅した完全ディスコグラフィも併載した。

実は再来日時、エイミーとバンド結成者であり、ソングライターのパートナーでもあったベン・ムーディ(g)は脱退してた。“EVANESCENCE=エイミー+ベン”のイメージが強かっただけにけっこう驚いたけど、この脱退劇はバンドが初来日した直後に起きた。記事掲載した対面取材で、エイミーはその理由をこう語った。
「その理由は私にもわからないの。ベンはいつも予測できない人だった。とっても変わってる人で、彼のことを理解するのは難しかった。私は彼がハッピーじゃないことはわかってたけど、その要因がなんなのかはわからない。現状に不満を募らせた結果、なにかを変えなきゃいけないと思ったんじゃないかしら。自分のパーソナリティーを変えるとか、まったく違うことを始めて人生を変えるとか。彼のやり方っていつもそんな感じなの。だから彼がバンドを離れたこと自体にはそんなに驚きはなかったわ。それよりもなにも言ってくれずに去っていったことに驚いたのよ。傷ついたわ。私たちに彼が離れるための準備をするチャンスをくれなかったんだから。だけど彼が去った今となっては、私たちは前よりもいい状態だし、今は彼も自分で活動してハッピーだって聞いてる。これでよかったのよ。私たちは今のメンバーで前より楽しくツアーができてるから最高よ。みんな音楽が好きだから楽しんでやってる」
ーーステージではいつもベンが横にいて、2人のやり取りがスゴく楽しそうだったし、めちゃくちゃ仲よさそうに見えたんで、ベンがバンドから離脱したって聞いたとき、すぐには信じられなかったけど。
「あれは演技よ。私たちは別に仲が悪かったわけじゃないけど、喧嘩することは多かった。そんなところは表に出ないから誰も知らなかっただろうけど。同じツアーバスに乗ることもなく(実はアメリカで初めてライヴを観たとき、2人が別々のツアーバスに乗り込み、移動するところを偶然目撃したので、初来日時の取材で聞いたところ、うまくはぐらかされた)、私たちはビジネスパートナーのような関係だった。互いにまったく違う人間なの。一緒に曲を書き始めた頃は互いにとても近しい関係だったけど、それって14歳ぐらいのときのこと。それから私たちは変わったわ。今の私は23歳で、あの頃と比べればずいぶん成長した。音楽を愛する気持ちと、アートに対する関心が同じことで私と彼はつながってたけど、人間としては合わなかったわ(笑)」

ベンの後任に迎えられたのが、テリー・バルサモだった。当初はツアー要員だったけど、後に正式メンバーに昇格する。EVANESCENCEの前は、US南部フロリダ州ジャクソンビル出身のダークで重心の低いヘヴィロックバンド、COLDの一員だった。3rdアルバム『YEAR OF THE SPIDER』(2003年)でプレイしてる。

ステージ上手でギターを弾いてるドレッドヘアが、テリーだ。“Stupid Girl”のMVだ。

Cold – Stupid Girl (Official Video)

正式メンバーに昇格してからはEVANESCENCEの2ndアルバム『THE OPEN DOOR』(2006年)、3rdアルバム『EVANESCENCE』(2011年)の曲作りに参画し、2ndでは収録曲13曲中9曲をエイミーと、後者では収録曲全曲をエイミーらと競作してる。しかし、血栓性脳卒中の後遺症により2015年にバンドを脱退してしまう。

一方のEVANESCENCEを去ったベンは、自分のリーダーバンドを持つというより、もっぱらソングライターとして活動してる。アヴリル・ラヴィーン、GODHEAD、DAUGHTRY、セリーヌ・ディオンらに曲を提供、もしくは競作してる。セリーヌとベンがスタジオで作業してる動画がかつて公開された。

Celine Dion and Ben Moody in the studio

セリーヌ所属のJPレコード会社のスタッフにかつて、この映像を見せてもらったけど、いろんな意味でインパクトがあったものだ(笑)。
2度目のGrindHouse magazine表紙登場号はVol104で実施し、2017年10月31日に発行した。

『SYNTHESIS』発売タイミングでだった。それまでの代表曲の再構築ヴァージョン14曲に、新曲2曲を加えた内容。正式には4thアルバムなのだけど、自分には企画盤にしか思えず、「企画盤で表紙かあ…」と珍しくうだうだしてたら発行スケジュールに間に合わなくなるかもしれないという時期になってしまい、エイミーの取材記事は断念せざるを得なくなり、自分のEVANESCENCEに対する想いを書いた、というなんとも後味のよろしくない結果となった次第だ(汗)。

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