【2021.09.27更新】
文・有島博志
2ndギタリスト、パット・スメアの後任として(後の2010年に復帰)、NO USE FOR A NAME、ME FIRST AND THE GIMME GIMMESなどの活動で知られるクリス・シフレットが、FOO FIGHTERSに正式加入したのは4thアルバム『ONE BY ONE』(2002年)発売の少し前のこと。3rdアルバム『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』(1999年)発売直前にUS東部ロードアイランド州プロビデンスのちっちゃなクラブで行われたシークレットギグのときすでにクリスはステージに立ってたし、実際自分はそのライヴも観てる。それから2年近く経ってからの正式加入。その間、彼はずっとツアーリングメンバーだった。なぜクリスの加入にそこまで時間がかかったのか、を後日、デイヴ・グロールに聞くと、こう返ってきた。
「クリスの人柄をずっと見てたんだよ(笑)。自分、そしてバンドとうまくやっていけるかをね。あと、小さなバンに詰め込まれ、あっちこっちをツアーし、自分で使用機材のクラブへの搬入・搬出を経験したことがあり、それが日頃の行動に表れるか、もね。バンド活動をしていく上でとても大事なことだから」と。
この発言を聞いたとき、とても納得がいった。大きな商業的成功を手にしたデイヴだけど、“アングラアティテュード”を体得してる、ととても印象的だった。デイヴは1986年の17歳のとき、ハードコアパンクバンド、SCREAMにドラマーとして加入、『FUMBLE』(発売は1993年夏だけど録音は1989年暮れ)などに参加してる。“アングラアティテュード”は、このとき培われたものだろう。
ちなみに、クリスの5歳上の兄スコットは、メロディックパンクロックバンド、face to faceでベースを弾いてる。
でだ、PROBOTだ。デイヴが2004年にやったメタルサイドプロジェクトで、唯一の作品『PROBOT』を残してる。
1曲ずつ異なるヴォーカルがfeat.参加してるのだけど、この顔ぶれがスゴい、見事だ。(当時)VENOMのクロノス、SOULFLYのマックス・カヴァレラ、MOTORHEADのレミー(故人)、CORROSION OF CONFORMITYのマイク・ディーン、(当時)CATHEDRALのリー・ドリアン、THE OBSESSEDのワイノ、(当時)CELTIC FROSTのトム・G・ウォーリア、VOIVODのスネイク、TROUBLEのエリック・シンガー(故人)、KING DIAMONDのキング・ダイアモンド、とメタルをちゃんと通るだけじゃなく、“アングラフィールド”にまで目と耳をしっかり向けてないとできない人選になってるのだ。はじめてこのクレジットを見たとき、正直ビビり、まさに脱帽状態だった。
この『PROBOT』からシングルがカットされてる。今ほどアナログレコードが再考されてない時代に、7インチでだ(CDヴァージョンは未発売だったと記憶する)。ロサンゼルスに居を構える、ストーナーロック、ドゥームメタル系のリリースが多いことで知られるメタルインディー、Southern Lord Recordからのリリースだ(アルバムのリリースも同様だ)。
A面にクロノス参加の“Centuries Of Sin”、B面にワイノ参加の“The Emerald Law”が収録されてる。ともにアルバムと同じヴァージョンだ。
久しくこういうことは話してないけど、デイヴの“アングラアティテュード”は今なお不変で、微動だにしてないだろう。素敵だ!
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