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【2020.08.31更新】

HOOBASTANK’s cover issues

GrindHouse magazine Vol.35
2006年3月31日発行

文・有島博志

メジャーレーベル移籍後の3rd『EVERY MAN FOR HIMSELF』(邦題『欲望』/2006年)発売に合わせ、バンド初表紙登場を実践した号だ。

メジャーデビュー作『HOOBASTANK』(2001年)からいきなり、自分はこの意味不明なバンド名を冠したロサンゼルスから出てきた4人組の音楽に響いた。無限大を意味する記号がジャケに描かれてるのも気になった。まるで「オレたちの才能、魅力は無限大だぜ!」とでも言ってるかのようで…。

適度にハード&ヘヴィ、そしてエッジーとバランスに長けたサウンド。それをダグラス・ロブの聴く者を優しく包み込むような歌声に、芯のある歌い回しが引っ張り、メロが立ちコンパクトにまとまった楽曲が支えるさまはとてもカッコよかった。
「楽曲は可能な限りコンパクトにまとめ、3分台を理想としてるんだ。意図的にやってるよ」とダグ。
ハワード・ベンソンのプロデュースワークもナイスだ。“Crawling In The Dark”は当時、Inter FMでやってたラジオ番組、GrindHouse fmのオープニングテーマ曲として使った。
バンドとの出会いは、所属のJPレコード会社の、普段の制作/編成部署じゃなく、輸入盤CDを取り扱う輸入盤部署からの紹介だった。そのときすでにCDはアメリカで発売済みで、「輸入盤で早くも5,000枚以上売れてましてね。日本盤化も決まりました」と当時の担当者。USオリジナル発売から数ヵ月後に『HOOBASTANK』は日本盤化された。こうした“タイムラグ”は決して珍しいことじゃない。LINKIN PARKの1st『HYBRID THEORY』(2000年)もUSオリジナル発売から半年の“時差”を経てやっと日本盤化されてる、というふうに。
『HOOBASTANK』で好スタートを切ったバンドは、2003年に一大出世作となる『THE REASON』を発売する。

『HOOBASTANK』をブーストしたような作風だ。珠玉のバラード調チューン“The Reason”をはじめ、アッパーな“Out Of Control”“Just One”、そしてスローナンバー“Disappear”など楽曲群にさらなる磨きがかけられてる。“Just One”はビールのTVCM曲に抜擢された。ダン・エストリン(g)が言う。
「“The Reason”のいきなりのシングルヒットは、まさに想定外の出来事だったんだ(苦笑)。このタイミングではなく、もっと先の時期にシングルカットするつもりだったけど、ラジオでかかったらどんどん広がっていっちゃったんだよ。まあヒットしたのは嬉しいけどさ…」
『THE REASON』大ヒットのただ中にメンバーチェンジが勃発する。8年にわたり苦楽をともにしてきた、親日家としても知られるマークー・ラパレイネン(b)が脱退したのだ。その一報を聞いたとき正直とても悲しかった。マークーは人懐っこいキャラゆえなおさらだ。
よって『EVERY MAN FOR HIMSELF』は、変則的な形で制作された。ダグ、ダンが一部ベースパートを担い、JANE’S ADDICTIONほかで知られるセッションミュージシャン、クリス・チェイニーが大半のベースパートを弾いた。
この作品は発売当初、日本のファンの間では評価が分かれた。
「『HOOBASTANK』『THE REASON』となんか違う」という意見がもっぱらだったけど、実は自分はかなり好きだ。“フーバス節”に“深み”と多少の音楽的“混沌さ”が加わり、楽曲の表情もさらに広がり、豊かに。特に“The First Of Me”が大好きだ。この曲を初めてライヴで聴いたとき、熱いものが込み上げてきたほどだ。ダグの歌唱に成長、進化が見られ、地声とファルセットヴォイスをまるでつむぐように歌う。
で、冒頭にあるのが、この作品発売タイミングで発行のGrindHouse magazine Vol.35。パーマネントベーシスト不在だったため3人のオフィシャル写真を使った。インタヴューはダグを有島が、ダンを当時弊社に在籍してたスタッフがそれぞれ電話でやった。
次作『FORNEVER』は2009年1月に発売された。それに合わせての2度目の表紙号だ。

GrindHouse magazine Vol.52
2009年1月31日発行

この作品の作風は、前作『EVERY MAN FOR HIMSELF』の延長線上にある。相変わらず幅広くロックしてる。どうも音楽趣向的にマイナーキーの楽曲が好きなようだ、ラヴソング“The Letter”がなかでも特に好きだ。ベースパートは前作同様、ダグとダンがそれぞれ一部担っており、それ以外はポール・ブシュネルがプレイしてる。
インタヴューはダグのピンの記事を掲載した。弊社の元スタッフが担当したものだ。写真撮影はハリウッドで行われたもののなかから選んだ。カメラマンは友人、マイカ・スミスだ。当時はまだマークーの後任のパーマネントベーシストは決まってなかった。だけど、ツアー要員のジョシュ・モローが撮影に参加した。これは実に珍しいケース。パーマネントメンバーではない限り、公式の写真撮影には加わらないからだ。事実、後にジョシュはバンドとは袂を分け、ケイティ・ペリーのツアーメンバーとして活動してた。
実はバンド離脱から少ししてハリウッドで、マークーに会ってる。当時彼はヘアサロンのオーナーになってて、近々新バンドで活動再開を計画中だと語ってた。彼は元気なんだろうか。

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