【2020.12.28更新】
ありしの日のSLIPKNOTのシド #0 ウィルソン、そしてDJ STARSCREAM…
Text by Hiro Arishima
Photo by Teppei
かつてSLIPKNOTがメンバー同士が互いを理解せず、対立し合い、バンド崩壊の危機に直面したことがあった。それがもっとも深刻化したのが2nd『IOWA』(2001年)の頃。それが原因でメンバーの何人かは、バンドとほかのメンバーから“距離”“時間”を置き、バンドを存続すべく“冷却期間”を設け、“ほかのこと”に目を向けた。コリィ・テイラーと(当時)ジム・ルートはSTONE SOURを、(当時)ジョーイ・ジョーディソンはMURDERDOLLSを、ショーン・“クラウン”・クラハンはTO MY SURPRISEほかを、そしてシド・ウィルソンはDJ STARSCREAMをやってたのは承知の通り。
DJ STARSCREAM名義での活動は、STONE SOUR、MURDERDOLLSのそれに負けるとも劣らないくらい活発かつ精力的だった。SLIPKNOT結成直後から並行して始動させ、シドの大の日本好きということや、完全にソロということでフットワークが軽いということもあって、2003年12月を皮切りにその後幾度も来日した。表現、主張する音楽が“クラブ系”ゆえ、使用会場は洋楽アーティストに馴染み深いCLUB QUATTROとかじゃなく、いわゆる“クラブ”だ。よって開演時間はだいたい夜10時以降と通常の公演より遅く、サポートDJの出演もあって、DJ STARSCREAMの出番はいつも軽く真夜中を回ってた。多作で、DJ STARSCREAM名義の作品は今日までに計8作に及ぶ。なかでも一番知られてるのが、3rd『ABUNAII SOUNDS‐TATAKU ON YOUR ATAMA』(2003年)だ。日本大好きなシドの、いかにもタイトルだ(笑)。
もう1作Spotifyで公開されてる。6th『THE NEW LEADER』(2006年)だ。
DJ STARSCREAMの音楽は一聴すればわかる通り、SLIPKNOTのそれとは180度異なる。
ジャンルもスタイルも、そしてベクトルを向けてる方向もまるで違う。ドラムンベース、ジャングルといい、相当攻めっ攻めな攻撃的で破壊力満載なサウンドだ。かつてFEAR FACTORYが出した2ndで力作『DEMANUFACTURE』(1995年)のリミックス盤『REMANUFACTURE』(1997年)のそれと似たようなヴァイブ、ニュアンス、タッチを感じさせる。
以下はDJ STARSCREAMが確か再来日したときに撮影したものだ。渋谷のクラブ、WOMBのバックヤードで開演前に実施した。まだ素顔公開がNGのときだ。
余談中の余談だけど、かつてシドとはこんなことがあった。シドがDJ STARSCREAMとして初来日したとき、大阪に遊びにきてた。自分もDJイベントにお呼ばれし、大阪にいた。そのイベントにシドが顔を出してくれた。自分のDJセットが終わった後、どういう流れでそうなったのか覚えてないのだけど、なぜか会場の外に出て道路んとこで立ち話に。はじめは他愛もない話をして笑い合ってたのだけど、いつしか互いの人生観を交わすようになった(笑)。で、一通り終わったところでシドにこう言われた。
「オマエさあ、日本で生活すんの息苦しいだろ?」と。
こういったことを誰かに言われたのはこのときが初めてだった。正直、驚いた。「そう言われてみれば、そうかも」と返すのが精一杯だった(汗)。もう20年近く前のことだけど、そこの部分だけ切り取ったかのように今もなお覚えてる。間違いなく、今後も忘れることはないだろう…。
なお、このTシャツはDJ STARSCREAMの音源リリースや、イベントをサポートするN2O Recordsのだ。オフィスがかつて、ショッピングストリートとして有名なロサンゼルスのメルローズアベニュー沿いにあり、一度お邪魔したときにいただいた。
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