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【2021.03.29更新】

ありし日のEVANESCENCE…

Text by Hiro Arishima
Photo by Mayumi Nashida

EVANESCENCEのデビュー作『FALLEN』発売から、早いもので今年で18年になる。もちろん、音楽的にもすばらしいのだけど、日本で売れていったプロセスというのもまさに異例で、驚かされたものだ。当初デビュー作の日本盤発売は、US発売より何ヵ月も先の月日がセットされてた。が、しかし映画『DAREDEVIL』のサントラに収録された“Bring Me To Life”が同映画の劇場公開告知TVCMで使われ、またそのTVCMの投下量が尋常じゃなかったことからCDショップチェーンに「CMの曲は誰?」との問い合わせが殺到するなどしてまずUS盤で火がついた。その売れ方がハンパなかったようで、毎週当時のJPレコード会社の担当氏から電話でUS盤CDが売れに売れ、日本盤CDの発売日が早まり、前倒しになった、との報告を受けてた。こうした景気のいい話なんて今じゃあり得ないし、しかも洋楽ロックだしで、当時も前代未聞の出来事だった。そのうちアメリカでもヨーロッパでもCDの在庫がショートし、輸入に頼ってた日本は「在庫はCDショップの店頭にあるのみ」という緊急事態となった。事実、都内のCDショップチェーンの主要店の店頭を何店舗か見て廻ったけど、どこもかしこもEVANESCENCEを大展開してたものの、そこに並べられてるCDがほとんどないのだ。まさにカッラ~ンって感じで衝撃的ですらあった。今なおその光景は脳裏に焼きついてる。世界の主要ポピュラー音楽国がEVANESCENCEのいきなりの大ヒットをまったく予見できてなかった、なによりの証拠だ。まあ、それも致し方なしだったわけだけど…。
しばらく流動的だった日本盤CDの発売日がもう動かずで完全フィックスした2003年5月24日に、先の担当者と一緒に取材とライヴ観戦で、US中西部インディアナ州インディアナポリス郊外のノブルズヴィルに飛んだ。世界的モータースポーツイベントとして有名な『インディ500』が開催されるところだ。バンドは地元のラジオ局X103主催のオープンエアフェスティバル、MAYDAY 2003に出演し、SALIVA、EVERCLEARらと同じステージに立った。デビューからいきなりブレイクしてたわけだけど、バンドの出番の時間は早く、2番目だった。そのときのライヴ写真だ。エイミー・リー(vo,piano)、22歳のときだ。

ライヴの細かいところまでは覚えてないのだけど、“Bring Me To Life”がそのラジオ局でもヘビーローテーション状態でかかってたため、ウケは上々だったと記憶する。持ち時間は30分ほどだったと思う。以下は当日のセットリストだ。

01.GOING UNDER
02.HAUNTED
03.EVERYBODY’S FOOL
04.BRING ME TO LIFE
05.TOURNIQUET
06.IMAGINARY
07.WHISPER

本番前に実現したエイミーと、ソングライターパートナーだったベン・ムーディ(g)に初対面取材した。1stのいきなりの大ヒットについてこう語ってた。
エイミー「ヒットした理由はよくわからないの。私たちに限らず、みんなにとって驚きの出来事だから。ただ、みんなが私たちの音楽が本物だって思ってくれたおかげだったらいいなって。私たちの音楽は本物の感情から生まれたもので、金儲けをするために作られたものじゃない。私たちにとっても、自分たちが好きな音楽を作るっていうのは重要なことなの。ずっとそういう想いでやってきたから、たぶんそれが今回の成功した理由かも。私たちの好きな音楽をみんなも好きになってくれたのよ。そうあってほしいわ。ほかの理由は考えつかないわ」
ベン「そうだね、オレたちが本物だって感じ取ってくれたんだろうね。ありがちなマーケティングされた作りものの音楽には、みんなも飽き飽きしてたこともあるだろうし」

これから約2ヵ月後に、EVANESCENCEは初来日し、FUJI ROCK FESTIVALに出演した。

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