PHOTO GALLERY 第18回

【2022.05.25更新】

ありし日のチ・チェン…

text by Hiro Arishima
photo by Micah Smith(FUSEMEDIA)

DEFTONESのチ・チェン(b,vo)が他界してからもう、9年の歳月が流れた。つくづく時の流れは早いと感じる。でだ、4月21日に公開した 有島博志が語るの続編だ(https://grindhouse.site/hiroarishima_chicheng/ )。

3rd『WHITE PONY』(2000年)発売タイミングで、バンドのホームタウンであるUS西海岸カリフォルニア州サクラメントで現地対面取材が実現した。彼らに初めて対面取材をしたのは 前回有島博志が語るで先述した通り、2nd『AROUND THE FUR』発売直前のことだったけど、その頃はまだGrindHouse magazineが創刊前だったため、8mmビデオカメラで取材の模様を撮り、当時出演してたTVK(テレビ神奈川)の音楽番組で放映された。『WHITE PONY』のときはちょうどGrindHouse magazineのリニューアル創刊の時期で、リニューアル創刊準備号と、Vol.1に2号続けて取材記事を掲載した。取材に応えてくれたのは、チノ・モレノ(vo,g)とステファン・カーペンター(g)だ。

実はこの取材のときにこんなことがあった。ステファンが現場になかなか姿を見せないのだ。開始予定時刻はとうに過ぎてた。待てど暮らせどこない。まだ携帯電話が普及する前のことゆえ、ステファンん家に電話するしか手立てがなく、メンバーが何度も電話をしたのだけど連絡がつかず。それからしばらくしてやっとステファンより取材現場に電話があり、「30分以内にはいく」と。しかし、30分待ってもステファンは現れない。そのときチがこう言った。
「お待たせしちゃって、本当に申し訳ない。“すぐいくから”て言うんだけど、なかなかこない。バンドんなかでは“まただよ”て。ステファンタイムていうのがあるんだよ、アイツには」と苦笑した。
結局、ステファンが到着したのは、取材開始予定時刻より3時間半以上も経ってだった。取材現場での“待ち”とはある種つきものではあるのだけど、このときほどの長時間の“待ち”はこの先も後も初めてだ(笑)。
『WHITE PONY』発売から数ヵ月して、チはソロ名義で『THE BAMBOO PARACHUTE』をセルフリリースしてる。

音楽は一切入っておらず、チによる喋り、語りのみの、いわゆるスポークンワードアルバムだ。

“THE BAMBOO PARACHUTE”@Tormented

チの咳払いがそのまま生かされてるなど、どうも一発録りのようだ。
『WHITE PONY』発売に合わせて、バンドは欧米ツアーに出た。いつ、どの公演だったか、覚えてないのだけど、そのツアーでのチのライヴ写真だ。

『WHITE PONY』のときは来日はなかった。続く4th『DEFTONES』の発売タイミングでは、GrindHouse magazine Vol.18でバンドに初めて表紙に登場してもらった。取材に答えてくれたのは、チノだ。

『DEFTONES』のジャケデザインが好きで、このTシャツを当時、よく着てた。

『DEFTONES』でのツアーが始まる前に、当時、バンドのホームタウン、サクラメントにあったリハーサルスタジオで撮られた写真群だ。チが生前、弊社が実施した最後のオフ写真撮影となった。

deftones 11/10/06 @ avalon, hollywood ca
deftones 11/10/06 @ avalon, hollywood ca

自分は現場にはいってないのだけど、2003年8月9日にはロサンゼルスで開催のこういうフェスに出演してる。なぜかフライヤーが手元にある。それにしてもスゴいメンツだ。

5th『SATURDAY NIGHT WRIST』(2006年)発売前から、バンドは大きく動いた。KORNが先導して開催のパッケージツアー、“The Family Values Tour 2006”に参戦した。このときのカリフォルニア州サンバナディーノ公演を観てる。

deftones Family Values Tour 8/19/06 San Bernardino CA
deftones Family Values Tour 8/19/06 San Bernardino CA
deftones Family Values Tour 8/19/06 San Bernardino CA

このツアーは後にライヴCDとDVDも発売され、ともに日本盤化もされた。DEFTONESは“My Own Summer”“Nosebleed”が収録されてる。

実は“The Family Values Tour 2006”の合間を縫って、バンドはサマソニ参戦ほかで8年ぶり二度目の来日を果たしてる。このとき生前最後にチに会い、軽く立ち話をしたのを覚えてる。
それから2年後の2008年11月4日、カリフォルニア州シーサイドでチはオートバイ事故に遭い、重傷を負った。この一報を知ったとき、心臓が止まるくらいの衝撃を喰らった。が、しかし4年半もの昏睡状態と闘うも2013年4月13日に息を引き取った。
9回目の命日の日に、チの人となりを優しく、おおらかな人だった、とつぶやいた。生前、その彼と何度か会い、話もできたことはとても幸運、光栄に思う。彼の言ったことのいくつかは、今も覚えてる。チよ、安らかに眠れ…。

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