ポスター展示館 第12回

【2020.11.09更新】

文・有島博志

MARILYN MANSONの3rd『MECHANICAL ANIMALS』(1998年)のUS製ポスター。

個人的にはマンソンの作品群のなかでTOP 3に入るフェイバリット作だ。

この作品のテーマは“両性具有”。2nd『ANTICHRIST SUPERSTAR』とはテーマがガラッと変わり、音楽的作風も異なる。ダウナーな気分になるダークで物悲しい雰囲気に支配されてる内容なのだけど、そこがまたよくてクセになる。なかでも“Great Big White World”“The Dope Show”“The Speed Of Pain”“I Don’t Like The Drugs (But The Drugs Like Me)”などが好きだ。今思うに2ndと3rdはホントによく聴いた。
2ndは怒りと憎しみがあふれ、3rdには悲しみと痛みが強く感じられる。
3rd発売直前だったか、発売直後だったかにこんなことがあった。USツアーを追っかけミネソタ州ミネアポリスまでいき、マンソン取材とライヴ観戦しにいったのだ。予定ではバンドが投宿先のホテルからライヴ会場に向かう前にそのホテルの一室でマンソンを取材、その後会場に移動し、ライヴ観戦という流れだった。日本からは当時のJPレコード会社のマンソン担当氏、某・音楽専門誌媒体編集長、自分、そしてUSレコード会社のプロモーション担当嬢の4人が現場にいた。まあ予定は未定なことだ。だけど、取材開始予定時刻になってもマンソンは姿を現さず、その気配もなく、よって取材も始まらない。待てど暮らせどひたすら待機待機待機。するとマンソンが外出から戻ってきてフロントでホテルの従業員となにやら話してるところを目撃!どうもショッピングにいってたようだ。「ようやく!」と思ったものの、が、しかしマンソンは一向に姿を現さないどころか、「取材もうすぐ始められるよ!」のコールもない。で、また引き続き待ち。たぶん3時間以上4時間近く待たされたと思う。
やっと取材始めるよコールが!だけど相手はマンソンではなく、当時のベース、トゥイギー・ラミレズ。一瞬「ぇっ?」となったけど、前から他のメンバーにもいつか話を聞いてみたいとは思ってたので好機と捉え、20分程度トゥイギーと向き合い話を聞いた。彼の話は実に興味深く、特に彼も自分も母親からロックを教えてもらったという境遇が似てて大いに盛り上がったことを覚えてる(笑)。
取材でこんなに待たされたのは、自分の仕事史上初めてのこと。今となってはいい思い出だけど(笑)。

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