【2020.11.18更新】
文・有島博志
SEPULTURAの7th『AGAINST』(1998年)のJP製ポスターだ。
時代の流れとはホント早いもので、当時まさか!と思ったマックス・カヴァレラ(vo,g)脱退→デリック・グリーン(vo)加入から22年以上もの長い歳月が流れた。マックスがSEPULTURAを結成してから脱退までの期間よりデリックが加入してから今日までの期間の方が長い、という事実。
マックス脱退は実に衝撃的で、当時メタルシーンを激しく震撼させた。起きるはずもないと思えたことが現実のものとなった衝撃波の破壊力は、それはそれは凄まじいものだったことを今も克明に覚えてる。
4th『ARISE』(1991年)、5th『CHAOS A.D.』(1993年)、6th『ROOTS』(1996年)でその時々にシーンに“轍”を深く刻み込んだ、それも彼らが米英バンドではなく、ブラジルのバンドだという“意外性”もあまりにも強烈だっただけにファンだけではなく、シーン、業界などが腰を抜かすほど驚愕したのも無理からぬことだった。
ただ、マックス脱退後のSEPULTURAの人気度、注目度、テンションなどは正直、ダダ落ちだった。1992年に実現した初来日公演をCLUB CITTA’で観たけど、超満員でものスゴい熱気だった。だけど、その後のデリックを迎えた新体制での来日公演も同じくCLUB CITTA’で観たけど、初来日時とは打って変わって観客動員数は相当少なかった。こういう現象はなにも日本だけのことではなく、欧米でもそうだったようだ。ほぼ同時期にハリウッドの中規模なライヴ会場、Avalonでヘッドラインショウを観たけど、客入りは寂しい限りだった。その事情もわからなくはないのだけど、その“激しいまでの差”は「ここまでか!」と思わざるを得なかったほどだ。自分は(当時)新生SEPULTURAに対して決してネガティヴではなく、『AGAINST』も興味深く、よく聴いた。
『ROOTS』とは違う方向で若干トライバル色が色濃くなり、混沌感漂う楽曲が何曲かある。また“日本”を強く思わせるジャケアートや、楽曲が2曲あるのも今作の特徴だ。駅のホームで流れる日本語のアナウンスが使われてる“F.O.E.”や、太鼓芸能集団、鼓童がゲスト参加した“Kamaitachi”のそのタイトルや、中盤からフィーチャーされる尺八の音色がそうだ。マックスのヴォーカルも存在感と説得力に満ちてたけど、デリックのヴォーカルはタイプこそ全然異なるも、とにかく“凄み”が際立つ。自分はデリックのことをSEPULTURA加入で知った。興味を持ったので、SEPULTURA加入前にデリックが関わってたOUTFACEの唯一の『FRIENDLY GREEN』(1992年/日本盤未発売)を探し購入したほどだ。
そういったこともあり、デリック初来日時に対面取材した際、サインを入れてもらった。
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