RECONSIDERATION(再考論) 第4回

【2020.12.09更新】

文・有島博志

ちょっと抽象的な言い方だけど、放たれてくるエネルギーの触感がゴツゴツピリピリする音楽が、そのスタイル、ジャンルに関係なく好物だ。NINE INCH NAILS、MINISTRY、KORN、AT THE DRIVEーINなどに第一聴時から首ったけになったのも、パンクロックやハードロックを下敷きにしたグランジ/オルタナティヴロックに相当のめり込んだのも、それらが自分の趣味嗜好にズッパまりで、いたく刺激されたからだと思う。
今年、再び聴き直してみて、またちょくちょく聴くようになったバンドがいくつかいる。90年代後半にハリウッドで結成されたバンド、THE ICARUS LINEも、そのうちのひとつ。残念ながら2015年に解散してしまったのだけど、今改めて彼らの音源を聴くととてもカッコいい!活動歴17年の間にアルバムをライヴ盤含めて8枚残し、シングル、EP、スプリットなども併せるとかなりの作品数に上る、多作なバンドだった。自分は1st『MONO』(2001年)、2nd『PENANCE SOIREE』(2004年)、3rd『BLACK LIVES AT THE GOLDEN COAST』(2007年)が特にお気に入りだ。最初の2作品は日本盤化された。
意図的にそうやってるのか、それとも本当にそうなのかを知る術は今となってはないのだけど、「音程が不安定だな」と思わせるジョー・カーダモンの刹那的で直情的なヴォーカル。実はこれが楽曲によっては“いい味”を醸し出したりしてる(笑)。おそらくSEX PISTOLSのジョニー・ロットンの洗礼下にあるんだろう、歌詞の言葉を“潰して”歌うところは、バンドサウンドを引き立てる。MUDHONEY、NIRVANA、BLACK FLAGなどに影響を受けたとのことだけど、それにも納得がいく。初期衝動まみれのプリミティヴなサウンド。フィードバック音、ハウリング音もそのまま生かされてて、とても生々しい。『MONO』でバンドのことを知ったのだけど、第一印象は「JESUS LIZARDに近い」だった。スタイル的にはポストハードコアと、オルタナティヴロックのド真ん中をゆく、みたいな感じか。最初の2作品はSpotifyでは未公開。YouTubeで試聴可だ。『BLACK LIVES AT THE GOLDEN COAST』はSpotifyで公開されてる。

Penance Soiree – Playlist

今言ってもなにも始まらないのだけど、やはり一度“生”が観たかった…。
もう一点、このバンドに惹かれた理由が、コマーシャルリリースされたシングルの数々のジャケのセンスのよさだ。渋谷のセンター街にかつて某大手CDショップチェーン店があった。仕事的にも行動範囲内なので、よく立ち寄っては、いろいろ諸々漁ってた。ここは輸入盤シングルのセクションが充実してて、ここに紹介したシングル群は大方、そこで見つけ、購入したものだ。

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