Hiro Arishima/GrindHouse@Spotify

【2020.05.20更新】

Hiro Arishima/GrindHouse@Spotify

第1回 インダストリアル/エレクトロ meets ロック/メタル編

90年代初頭を皮切りに欧米のロックシーンの縦横の構造が激変した。そのうねりを強く突き動かした現象のひとつがインダストリアル、エレクトロと、ロック、メタルの異種交配だった。その主たるアーティストを選んだ。

FRONT LINE ASSEMBLY■
カナダのトロント産のベテランなインダストリアルバンドの1994年発売の7枚目『MILLENNIUM』。これまでの長いキャリアにおいて、彼らがもっともメタルに近寄った作品で、ヘヴィでエッジ-で肉厚な曲が目立つ。デヴィン・タウンゼントが3曲にゲスト参加。

■LUNATIC CALM■
イギリスはロンドン出身のエレクトロデュオの、1997年発売のデビュー作『METROPOLE』収録曲。アッパーでむちゃくちゃ勢いのある好チューン。当時流行ってた“デジロック”の典型的なアプローチに裏打ちされてる。

■SKREW■
メタル専門レーベル、Metal Bladeに以前在籍し活動してた異色の存在の1994発売の2枚目『DUSTED』より。根っこも体も完全にメタルで、多量の打ち込み、サンプリングを取り入れつつ、彼らなりのインダストリアルメタルを表現してた。

■SKINNY PUPPY■
欧米ではかつてNINE INCH NAILS、MINISTRYに勝るとも劣らない知名度、人気を誇ったゴス/インダストリアルデュオの、9枚目『THE GREATER WRONG OF THE RIGHT』(2004年)より。この前の作品『THE PROCESS』(1996年)とともにロックヴァイブを強く感じさせる。

■STABBING WESTWARD■
1996年に『WITHER BLISTER BURN & PEEL』でメジャーデビューしたUSイリノイ州出身のインダストリアルロックバンド。今日までに4作品残してきたけど、今作が一番カッコいい。音が非常に洗練されてる。

■JULIENーK■
元ORGYのライアン・シャックと、元ROUGH CUTT~ORGYのアミア・デラク基軸の完全エレクトロニックバンド。2人は故チェスター・ベニントンが生前やってたサイドバンド、DEAD BY SUNRISEの構成員でもあった。

■FRONT 242■
キャリアの長いベルギー産のエレクトロニックボディミュージック・グループの、1996発売の既発表曲のリミックスヴァージョンをコンパイルしたリミックス盤。THE PRODIGYのリアム・ハウレットが2曲手がけてる。やはりリアムのリミックスワークにはロックヴァイブがある。

■THE BIRTHDAY MASSACRE■
女性シンガー、Chibiがフロントに立つカナダはオンタリオ州に活動基盤を置く6人組ゴス/インダストリアルバンドの、2004年発売の2枚目『VIOLET』より。ダークななかにもキャッチネスがある。当時、輸入盤ながら日本でかなり売れたと聞く。

■GODFLESH■
1992年発売の、“耳痛レーベル”ことEarache Recordsが発売した当時の所属バンドを中心とした10組が参加し11曲を提供したBLACK SABBATHのトリビュート作『MASTERS OF MISERY』。かのイアン・ギランが歌った唯一の作品『BORN AGAIN』(1983年)収録曲“Zero The Hero”を、GODFLESHがカヴァー。この気だるさ、脱力感サイコーである(笑)。

■1000 HOMO DJs■
MINISTRYのアル・ジュールゲンセンはかつて、当時の好パートナー、ポール・バーカーといくつものサイドプロジェクトを並行してやってた。この1000 HOMO DJsはそのうちのひとつで、2枚のシングルを発売した。それぞれのシングル収録を抱き合わせにしCD化された。タイトル曲はBLACK SABBATHのカヴァー。名カヴァーだ。

■THE PRODIGY■
1997年発売の3枚目であり、リアム・ハウレットに「究極のクロスオーバー作だ!」と言わしめた『THE FAT OF THE LAND』より。今作で彼らは世界的大ブレイクを果たした。ロックなヴァイブがガンガンくる名曲だ!

■KILLING JOKE■
ポストパンクの先駆者のひとつとして有名なUKのロンドン出身のベテランバンド。90年代中盤あたりからハードエッジなギターを取り入れ、インダストリアルに接近した。通算12枚目『KILLING JOKE』(2003年)より。FOO FIGHTERSのデイヴ・グロールがドラムで全面参加してる。

■PRONG■
パンクロック、ニューウェーブ、ノイズ、メタルからの影響をゴチャ混ぜにし、まったく独自の音楽性を確立したトリオ。オリジナル活動期最後の作品『RUDE AWAKENING』(1996年)より。今作ではエレクトロに寄り、かなりカッコいいアプローチを聴かせる。

■MINISTRY■
歴史的傑作の通産4枚目『PSALM 69:THE WAY TO SUCCEED AND THE WAY TO SUCK EGGS』(1992年)のトップを飾る強力チューン。この作品がどれだけインダストリアル/エレクトロと、メタルの間の“壁”を低くしたことか。

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