Hiro Arishima/GrindHouse@Spotify

【2020.06.17更新】

Hiro Arishima/GrindHouse@Spotify

第3回 英70’s後半初期パンク編

テーマは70年代後半にロンドンで勃発し、あちこちを席巻、ほぼリアルタイムで日本にも入ってきた初期パンクロックだ。当時自分にとっては大事件で、音楽的にもファッション的にもすべてが斬新だった。ただ、当時はパンクロックとメタルの相性は芳しくないとされ、「パンクロックどう思う?」って音楽仲間たちに聞くとだいたい否定的な意見が返ってきた。よって金もなかったこともあり、レンタルレコード店で主たるバンドの作品を借りては隠れて聴いてた。これまた自分の青春時代の一面だ(笑)。
supported by Yumi Sato.

■SEX PISTOLS/PROBLEMS■
1977年10月リリースのアルバム『NEVER MIND THE BOLLOCKS, HERE’S THE SEX PISTOLS』収録曲。シニカルな楽曲だが好きな曲の一つだ。バンドの最初で最後のオリジナルアルバムになる。当時の英国でバンドは物議を醸し立つ存在となり、世間をざわつかせていたが、わずか4年の活動で解散。40年以上の時が経つが音楽シーンやファッション界において様々なアーティストやバンドに絶大な影響を与えた。

X-RAY SPEX/OH BONDAGE UP YOURS!
英パンクバンド。デビューシングル(1977年)。デビューアルバム『GERMFREE ADOLESCENTS』(1978年)収録。アルバムはバンドとして最初で最後の作品。POLY STYRENE (vo)の張り叫ぶような、そしてどこか感傷的な歌声に切なさを感じる。

■999/NASTY NASTY■
1976年12月に結成の英パンクバンド。その翌年リリースした2枚目のシングル曲。不快な気持ちを元気いっぱいに歌うヴォーカルのNICK CASHの歌いっぷりが、良い意味で耳に残る。バンドは現在も絶賛活動中でニューアルバムもリリースしたばかり。

■THE JAM/IN THE CITY■
パンクムーヴメントのなか、破れたジーンズに革ジャンパンクなファッションと違いモッズでスタイリッシュなスーツに身を包み登場した英サリー州出身の3ピースバンド。1977年のデビューアルバムの同タイトル曲。PAUL WELLER(vo, g)が若者の怒りを激しく熱く歌いあげギターをかき鳴らす、いつ聴いても心に響く1曲だ。

■THE CLASH/ WHITE RIOT■
英パンクバンド。デビューアルバム『THE CLASH』(1977年)収録曲。JOE STRUMMERがリードヴォーカルの楽曲。人種差別だとの批判や誤解のあった楽曲だが当時の英国階級社会を風刺していて、そういう格差社会から生じたフラストレーションをこの1曲に表している。バンドは後に“LONDON CALLING”や“ROCK THE CASBAH”など数々の名曲を残し、ジャンルを超え、様々なミュージシャンやバンドに多大な影響力を与える存在となる。2002年12月22日、JOEは50歳の若さで他界。

■THE DAMNED/NEAT NEAT NEAT■
1977年リリースのデビューアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』収録曲。プロデューサーはパブ・ロックで有名なシンガー・ソング・ライターのNICK LOWEだ。当時のメンバーは、DAVE VANIAN(vo)、BRIAN JAMES(g)、CAPTAIN SENSIBLE(b)、RAT SCABIES(ds)だ。BRIAN JAMESのギターがなんとも渋い!バンドは解散や再結成、メンバーチェンジを経て波乱万丈な経歴だけど、現在も絶賛活動中でどの時代のライヴでもずっとおなじみで愛され続けているナンバーのなかのひとつ。

■THE STRANGLERS/NO MORE HEROES■
1974年結成。1977年リリースの2ndアルバムの同タイトル曲。シングルとしてもリリースされ英国でヒットした。歌はHUGH CORNWELL(vo, g)が書き、歌のなかで彼が称賛した偉大な人物(ヒーロー)たちを亡くしたことを嘆いている。イントロから響くDAVE GREENFIELD(key)の奏でるオルガンの音色とメロディが独特で楽曲の世界観にマッチしている。GREENFIELDは世界中に猛威を奮うコロナウィルスの感染により、2020年5月3日に71歳で他界。悔しい想いとともに、心よりご冥福を祈るばかりだ。

■GENERATION X/ONE HUNDRED PUNKS■
1978年リリースのデビューアルバム『GENERATION X』収録曲。バンドは英国で成功しアルバムを3枚残して解散してしまうが、後にヴォーカルのBILLY IDOLは渡米してソロデビューを果たし、世界的にさらなる飛躍を続けた。英国のロックスターとしてロンドンにあったMADAME TUSSAUD’S ROCK CIRCUS(2001年に閉館)では、BILLYの等身大の蝋人形が展示されていた。時を経て、米パンクバンドTHE OFFSPRINGは同楽曲をバンドのシングルのカップリング曲としてカバーをした。

■BUZZCOCKS/ EVER FALLEN IN LOVE (WITH SOMEONE YOU SHOULDN’T’VE)
1978年リリースの2nd アルバム『LOVE BITES』に収録。キャッチーでエモーショナルなチューンで大好きな1曲。バンドは、1996年9月にTHE DAMNEDのDAVE VANIANとCAPTAIN SENSIBLEのバンドと共にClub CITTAで2夜来日公演を行った。2日目のライヴの終盤でこの楽曲のセッションが行われステージ上で女子高生のセーラー服姿のCAPTAINにPETE SHELLEYが馬乗りになって襲いかかるといったドタバタな面白いくだりもあったことを思い出す。PETEは2018年12月6日に心臓発作で他界。R.I.P.

■MOTORDAMN/OVER THE TOP■
MOTORHEADとTHE DAMNEDのコラボバンド。互いのバンド名から”MOTOR”と”DAMN”を取ってかけあわせたバンド名がわかりやすい(笑)。1979年5月にレコーディングが行われ、CHISWICK RECORDSから限定のプロモ盤(アナログ盤)として世に出た。日本では、1992年に、テイチクレコードの企画で限定のプロモCDシングル(8cm)が企画の当選者に配布された。ヴォーカルはMOTORHEADのLEMMY KILMISTER。ノリノリなチューンでカッコよく、テンション上がる!

■THE SLITS/ TYPICAL GIRLS■
英ガールズパンクバンド。デビューアルバム『CUT』(1979年)収録曲。独特なリズムに乗って典型的な女子たちを皮肉るARI UP (vo)の歌声が響くユニークな楽曲。当時、THE CLASHやBUZZCOCKSらとライヴを行っていた彼女たちは明らかに典型的ではない女子だったでしょう(笑)。

■STIFF LITTLE FINGERS/ SUSPECT DEVICE■
北アイルランド出身のパンクバンド。デビューアルバム『INFLAMMABLE MATERIAL』(1979年)収録曲。当時の北アイルランド問題の最中にバンドは結成され楽曲は制作された。表現が過激だけど時を超えて令和のこの時代に聴いても強烈な一曲だ。

■SHAM 69/ BORSTAL BREAKOUT■
英サリー州ハーシャム出身。1975年結成。1970年代のもっとも成功したパンクバンドのなかのひとつだと言われる。1978年にリリースしたシングル曲。アップテンポで踊りたくなりそうな曲だけど、少年院から彼女の元に戻るため脱走しちゃう危ない世界観。あくまでもパンクなファンタジーということで(笑)。ライヴの最中にオーディエンス同士の喧嘩でライヴが中断されることが何度もあったそう。

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