HIRO ARISHIMA/GRINDHOUSE@SPOTIFY

【2020.07.01更新】

Hiro Arishima/GrindHouse@Spotify

第4回 ジャパメタの夜明け編

テーマは、80年代初頭~中盤にかけて起きたジャパニーズ・ヘヴィメタルの夜明け、新たな咆哮だ。いわゆる“ジャパメタ”だ。自分は間違いなくこのシーン、喧騒のただ中にいた。ただ、この喧騒を彩ったいくつかのバンドの音源が未配信なのは残念だ。

1.44MAGNUM/“Satisfaction”
80年代初頭のムーヴメント形成は“西高東低”で、関西勢がブイブイ言わせてた。先頭を走ってた“関西3大メタルバンド”のひとつが彼らで、音楽的にも、またヴィジュアル的にも強烈なインパクトを放ってた。もともとは初の公式音源となった1983年発売の3曲入りソノシート『44MAGNUM』収録曲で、同年発売のメジャーデビュー作『DANGER』で再録された。キャッチーで覚えやすく、口ずさみやすい好チューン。


2.EARTHSHAKER/“Time Is Going”
“関西3大メタルバンド”のひとつで、44MAGNUMと双璧を成した当時4人組のメジャーデビュー作『EARTHSHAKER』(1983年)収録曲。バンドの当時の持ち曲のなかではもっともファストなチューン。
3.浜田麻里/“Runaway From Yesterday”
1983年発売のデビュー作『Lunatic Doll~暗殺警告』より。LOUDNESSの樋口宗孝全面バックアップ作で、“メタルクイーン”的な売り出し方をされてた。彼女の歌唱法の魅力がフルに活用された悲しげなバラード調の曲。


4.ANTHEM/“Warning Action”
当時のムーヴメント形成の“西高東低”に一石を投じた、東京出身の4人組のメジャーデビュー作『ANTHEM~パワーメタル戒厳令』(1985年)収録曲で、デビュー前からのファストナンバー。彼らの公式初音源となったコンピで、レコードが木箱入り
で話題になった『HEAVY METAL FORCE』(1984年)提供曲で、これはそのリレコーディング版。当時の布陣は柴田直人(b)以外は現在とは違い坂本英三(vo)、福田洋也(g)、大内貴雅(ds)。


5.BLIZZARD/“Lady Stardust”
端正な顔立ちと、ランディ・ローズ直系のバカテクぶりが人気を呼んだ松川敏也(g)が結成した5人組。1984年発売のメジャーデビュー作『暗黒の聖書~BLIZARD OF WIZARD』(1984年)収録曲で、大仰でアッパーな曲だ。


6.LOUDNESS/“Loudness”
元LAZYの高崎晃(g)、樋口宗孝(ds)が中心になり1981年に結成された、世界に名だたる最強メタルバンド。ライヴハウスシーンから這い上がってきたタイプのバンドではないけど、後続バンドたちをいたく刺激し、強く背中を押した。1981年発売のデビュー作『THE BIRTHDAY EVE~誕生前夜』のド頭を駆るこの曲は、まさに彼らのアンセムであり、決定打となった彼らの代表曲中の代表曲だ。


7.REACTION/“Too Young Too DIe”
“ジャパメタ世代”的には第2波にあたる東京活動ベースの4人組。通算2枚目となるメジャーデビュー作『AGITATOR』(1986年)より。オーセンティックなハードロックで、加藤純也のヴォーカルが聴く者をグイグイ引っ張っていくのが魅力だった。


8.本城未沙子/“Security Blanket”
高校在学中の1982年に『魔女伝説〜Messiah’s Blessing』でデビュ-。当初は浜田麻里と競い合う“メタルクイーン”との打ち出しだった。初期作品が未配信なため9thソロ『VISUALIZE』(1989年)より。“メタルクイーン色”はなく、US傾向強しのJ-POP。


9.FLATBACKER/“Guerrilla Gang”
関西でも関東でもなく、北海道の札幌から出てきた4人組。7曲入りデモ音源『皆殺し』(1984年)を初めて聴いたとき、そのスゴさ、カッコよさに舌を巻いたのを覚えてる。それまでのバンドたちとはまったく異なる音楽性で、未知なる力も内包してた。1986年発売の2nd『餌ーESAー』収録曲で、ハードコアパンクのアティテュードでメタルやる、みたいなスタイルは今聴いてもカッコいい!


10.DEAD END/“Decoy”
音楽的にとても特化したバンドだった。ジャンル分けが難しく、パンクロック、ゴス、ハードロック、ニューウェーブ、グラムロックなど広角的に影響を受け、まったく独自の音楽をやってた。通算2枚目かつメジャーデビュー作『GHOST OF ROMANCE』(1987年)収録曲。絶頂期にあったときの彼らは本当にスゴかった。先日、YOUこと足立祐二が他界した。心よりお悔やみ申し上げます。Rest in peace.


11.44MAGNUM/“The Wild Beast”
『DANGER』収録曲。ヘヴィチューン。手前味噌な話だけど、有島がこの曲のコーラスパートに参加してる。取材でレコーディング現場にいたことから「コーラスパートを厚くしたい」という梅原“PAUL”
達也(vo)の一言がきっかけだった。そういうこともあり、個人的思い入れの強い曲だ。


12.EARTHSHAKER/“Earthshaker”
デビュー作『EARTHSHAKER』の1曲目を飾る、いきなりのアンセム。歌よし、メロディよし、楽曲よしの四拍子揃い踏みの名曲!一度聴いたら忘れない“強さ”が漲ってる。ホントにいい曲だとつくづく思う。


13.ANTHEM/“Wild Anthem”
メジャーデビュー前からライヴ時に必ずやってた”アンセム”であり、テーマ曲。『ANTHEM~パワーメタル戒厳令』幕開け音源で、やはり“強さ”がある。言わずもがな名曲である。


14.OUTRAGE/“Under Control Of Law”
UNITEDとともにジャパニーズ・スラッシュメタル黎明期を引っ張った名古屋産4人組。自主制作によって1987年にPile Driver Recordsより3000枚限定で発売された初の公式音源4曲入り『OUTRAGE』。バンドの代表曲中の代表曲で、メジャーデビュー作『BLACK CLOUDS』(1988年)でも再録された。METALLICAからの影響強し。


15.E・Z・O/“Here It Comes”
FLATBACKER名義で2作品出した後にバンドはロサンゼルスに拠点を移し、バンド名をE・Z・Oに改名。メジャーレーベル、Geffen Recordsとワールドワイド契約した。KISSのジーン・シモンズがプロデュースした『E・Z・O』(1987年)は、FLATBACKER時代の音楽性とは異なり、メロディの立った、奥行きのあるビッグサウンドに進化した。


16.BOW WOW/“Gonna Be Alright”
ジャパニーズハードロックの草分け的存在。70年代後半の数作品はまるでハードロックを忘れたように音楽性をソフト路線に方向転換し物議を醸したけど、1981年発売のこの『HARD DOG』では彼ら本来のあるべき姿に回帰してる。若手“ジャパメタ”後続勢に刺激を受けたからか?と当時思ったものだ。正直、この曲今聴いてもカッコいい!

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