Tシャツ博物館 第11回

【2020.07.22更新】

文・有島博志

SLIPKNOTが4th『ALL HOPE IS GONE』(2008年)発売直前に取材、写真撮影のため、バンド生誕地であるUS中西部アイオワ州デモインを初めて訪れた。そこは州都であり、州内最大の都市。ダウンタウンにあるホテルに投宿したのだけど、驚くほど周りになにもなく、穏やかでのんびりした空気に包まれた街、との印象を強くした。正直、「ぇ?ここからあのSLIPKNOTが出てきたの?」と思ったほどだ(笑)。コリィ・“#8”・テイラー(vo)が言う。
「初めて訪れた人にゃそう見えるだろうな。だけど、その下には切迫感がある。前にも言ったけど、確かにほとんどなにも起こらない街さ。今はずいぶんよくなったけど、オレがガキの頃はあちこちに欲求不満が渦巻いてた。なにもやることがない場所に変わりはない。美しい街だし、より美しくするために開発し、金も注ぎ込んでるけど、そのすべては年配の世代のためのもの。若い世代にはなにも成されてない。それで若者たちはツラい想いをしてる。静かな街だけど、その下には生々しい焼け跡がある。だから“Fuck it!全部クソ喰らえ!!”てなる。そして、それがオレたちをオレたちらしくしてるんだ(笑)。つまりアイオワ出身者なら、意地悪くものを言う権利があるってことさ」

コリィのほかに、取材はショーン・“#6”・クラハン(per)、ジョーイ・“#1”・ジョーディソン(ds)にし、無事完了、写真撮影もうまくいった。その写真、記事は2008年7月31日発行のGrindHouse magazine Vol.49に掲載した。SLIPKNOT 4度目の表紙号だ。

取材、写真撮影をした翌日、次の目的地に移動するためデモインを離れたのだけど、そう滅多にこない街だろうからなにか思い出に残るものを自分に土産として、と空港で思った(笑)。まずは“IOWA”と書かれたキーホルダーを見つけ(以前Twitter上で公開済み)、続いて目に入り、手が伸びたのが、このTシャツだった。

一時、“got milk?”とか“got metal?”とかプリントされたメッセージTシャツが流行ったことがあった。で、それのアイオワ州版パロディが“got corn?”(笑) アイオワの主要作物はとうもろこしという話を聞いたことがあったし、ボトムもとうもろこしに引っかけてイエローというのにウけ、購入した(笑)。
後日、ちゃんと調べたところアイオワ州のとうもろこし収穫量は全米第一位であることを知った。自分にいい土産を買ったと思う(笑)。

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