MUST LISTEN!/VERY RARE STUFF

【2021.02.01更新】

文・有島博志

しょっちゅうピコピコ音挟み込み、時折ヒューンヒューン言わすハードコアバンド、THE LOCUST。USカリフォルニア州サンディエゴ産の4人組だ。彼らのバンド名、音楽、ビジュアルを知ったときはけっこう刺激的で、それ以来追っかけるようになった。バンド名の意味はイナゴ。よってステージコスチュームはイナゴを思わせるものだし、今日までに残してきた作品群のジャケにはいくつかイナゴが描かれてる。そんな彼らが、3rdフルアルバム『NEW ERECTIONS』(2007年)を出してからというものピタッと動きを止めてる、と傍目には映る。気づけば、オフィシャルサイトは閉鎖になってた。バンド結成者のひとりであるジャスティン・ピアソン(b,vo) は現在、エレクトロユニット、PLANET Bにご執心だ。3rdフルアルバム発売から14年の歳月が流れてる。正式な解散声明は成されてないはずだけど、もう解散と受け取った方がいいのだろうか…。
確か3rdフルアルバムが出る直前のことだったと記憶する。GREEN DAYが初期の頃に所属してたパンクロックレーベル、LOOKOUT! RECORDSのスタッフであり、THE DONNASやTHE LOCUSTのマネージャーでもある女性に、サンフランシスコで会ったことがあった。前からの知り合い。THE LOCUSTはスプリットシングルやEPをたくさん出しており、買い逃すと即ソールドアウトになるので、彼女に「それらの収録曲をまとめてコンパイルし、コンピとして出してみては?」と言ったら「その計画は進行中よ。もうすぐ出せるわ」と言ってた。たとえば、下記のようなスプリット7インチシングルだ。バンドにとってキャリア第3弾のスプリット7インチシングルとなったハードコアバンド、ARAB ON RADARとのだ。

なにかやらないと気が済まない人たちゆえ(縦横6㎝の正方形CDとか)、シングル盤は変形型だ(笑)。第4弾のスプリット7インチシングルとなったのは、かつて共演経験もあるJPアングラバンドとしてつとに有名なMELT-BANANAとの。

で、「もうすぐ出せるわ」と言ってたけど、結局それから5年以上かかって、2012年にやっとEpitaph Records傘下のANTI-より『MOLECULAR GENETICS FROM THE GOLD STANDARD LABS』のタイトルで未発表曲集(44曲入り!)は発売された(日本盤未発売)。1曲目から5曲目までがMELT-BANANAとのスプリット提供曲で、14曲目から18曲目がARAB ON RADARとのスプリット提供曲だ。

ネットでTHE LOCUSTを検索すると、“変態バンド”と表現されてる記述が目立つ。その特異なビジュアルからそう表現してると思いたいのだけど、自分は彼らのことを音楽性も含めて“変態バンド”と思ったことは一度もない。むしろ強烈にカッコいいと思う。演奏能力はケタ違いに高く、音楽性はあまりにもスリリングかつファストで唯一無二のものだ。彼らのことを単に“変態バンド”と言うのには非常に抵抗がある。六本木のクラブ、Super Deluxe(2019年1月閉店)で観た前回の来日公演でのパフォーマンスは本当に凄まじかった。終演後、マーチャン売場でTシャツを買ってしまった。EP『SAFETY SECOND, BODY LAST』(2005年/日本盤未発売)のジャケデザインがプリントされたものだ。

ちなみに、冒頭に記したジャスティン・ピアソンのエレクトロユニット、PLANET Bは2018年に1st『PLANET B』(日本盤未発売)をFAITH NO MOREほかで有名なマイク・パットン主宰のレーベル、Ipecac Recordingsよりリリースした。全曲ヴォーカル入り。ビートがひたすら重く、ブッ太い。カッコいい!

PLANET Bもいいけど、またぜひTHE LOCUSTもやってほしいなあ…。

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