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【2021.12.20更新】

ありし日のTHE CASUALTIES …

text by Hiro Arishima
photo by Kentaro Kambe

第10回のReconsideration(再考論)や(https://grindhouse.site/reconsideration_part10_thecasualties/ )、
ツイートでこれまで未公開だった写真を先に1点公開したけど、同じ機会に撮影した写真を大公開する。
2004年4月、THE CASUALTIESは当時、レーベルメイトだったFLOGGING MOLLYとともに再来日した。5thアルバム『ON THE FRONT LINE』(2004年)ももちろん音楽的にカッコよかったのだけど、同時にメンバーそれぞれのビジュアルにもかなり興味を持った。ポップにカラーリングされた実にパンクロックなスパイキーヘアに、もろ“UK初期パン”な鋲ジャンなどをぜひ写真に、と思いカメラマンに撮影をお願いした。撮影は公演会場のO-WESTのバックヤードで開演前に行った。

「THE CLASHの真似じゃん!」というツッコミをされるかもしれないけど、鋲ジャンのバックを見てほしくて撮らせてもらった。鋲ジャンについては「オレたちのパーソナリティの一部さ。自分自身の証明。たまにキッズから“その鋲ジャンちょうだい”って言われるけど、あり得ないね(笑)。なにしろこの鋲ジャンはオレ自身なんだから」とリック・ロペズ(b,vo)が断言すれば、「その通り。だからすべて自分で作ってるんだ」とマーク・“メガース”・エッガース(ds)が続けた。ちなみに、リックの鋲ジャンは当時で10年着てるそうで、メガースのは1999年初めに購入したものだそうだ。以下、個人ショットだ。

ジョージ・ヘレーラ(vo)
ジェイク・コライティス(g)
リック・ロペズ(b,vo)
マーク・“メガース”・エッガース(ds)

再来日した後少ししてバンドは、Warped Tour 2004に参戦し、全米各地を巡演した。GrindHouse magazineの当時の編集長で、その頃毎年派遣し、Warped Tourを観てもらってた権田アスカ氏は、カリフォルニア州サンディエゴ公演でのTHE CASUALTIESのライヴパフォーマンスをこう書いてる。
「暴走するTHE CASUALTIESを見てしまい、心臓が本気で止まるかと思った。言うまでもなくスタートと同時に巨大モッシュサークルが出現。サンディエゴという場所柄、ジョージ(vo)がスペイン語でMCをすると、ヒスパニック系の観客が異様なほど盛り上がる」

その後もTHE CASUALTIESは、7thアルバム『UNDER ATTACK』(2006年)、8thアルバム『WE ARE ALL WE HAVE』(2009年)などコンスタントに作品を重ねつつ精力的に活動を続けていく。2006年6月には3度目の来日をし、福島、浜松、広島などにも足を延ばしてる。このときの模様は後日、『CAN’T STOP US』のタイトルでDVD化されてる(日本盤未発売)。この作品は、第10回のReconsideration(再考論)で
( https://grindhouse.site/reconsideration_part10_thecasualties/ )紹介してる。
が、しかし、そんななかの2017年7月、突然、目を疑うようなニュースが飛び込んできた。ジョージ・ヘレーラが脱退したというのだ。バンドの公式ウェブサイトに「もはやジョージはバンドでツアーを廻る生活が、彼の望むべきものではなくなった」とあった。
THE CASUALTIESの結成者であり、バンドの“顔的存在”であり、シンガーであり、またリリシストでもあるジョージの脱退は衝撃的で、かなり驚いた。
今だからこそ書ける話なのだけど、実は密かに4度目の来日の話を進めようとしてた。US本国での所属レーベルだったSideOneDummyを離れたことで日本のレコード会社とのライセンスディールを失ったこともあり、2006年6月の再々来日以来、久しく日本の地を踏んでなかったからだ。が、しかしバンドのコンタクト先がわからず。すると偶然なのだけど、知人がバンドと近しく、連絡をとってみますと申し出てくれた。しばらくしてその知人から連絡があり、「何度もメールしてるんですけど、まったく返信がないんです。もしかすると、ジョージに性的暴行疑惑があり、それでバンド内が混乱してるのかもしれません」との報告を受けた。この話にも驚いたけど、それから程なくして、ジョージの脱退が報じられた。これで来日の話を持ちかけるのは一気に水泡に帰してしまったのだった…。
ジョージは、中南米エクアドル最大の都市グアヤキル生まれの移民だ。母国語はスペイン語で、THE CASUALTIESでは、『ON THE FRONT LINE』のスペイン語ヴァージョン『En la Línea del Frente』(2005年/日本盤未発売)も残してる。

En la Línea del Frente

とにかくジョージの脱退が残念でならない…。

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