【2021.10.27更新】
文・有島博志
もうすぐハロウィン…と、昨年の同時期に公開したのとまったく同じ書き出し
( https://grindhouse.site/veryrarestuff-part2-halloweenhootenanny/ )、というのもどうかと思うけど(笑)。今年のハロウィンは緊急事態宣言は解除されたものの、川崎での実に健全であることで有名な駅前でのマーチは終了となり、荒れに荒れることで知られる渋谷は昨年と同じく、「ハロウィンの日には渋谷にこないで!」との声明を大々的に出してる。
さて、結果はいかになわけだけど、音楽を聴きつつ静かに楽しみ、過ごすというのも一興だ。残念ながら昨年紹介した、ハロウィン大好きロブ・ゾンビがコンパイルし、流通をメジャーのGeffen Recordsが担い、自主レーベルのZombie-A-Go-Go Recordsよりリリースしたハロウィンコンピ『HALLOWEEN HOOTENANNY』(1998年)はYouTubeから削除されてしまったため、現在は試聴不可。ロブの趣味も窺えるなども含めて良質なコンピなだけに、試聴してもらえないのはなんだかなあという想いだ。CDも絶版だ。
実はそのコンピで初めて名や音楽を知り、気に入ったバンドが2組いる。そのひとつがまず、THE GHASTLY ONESだ。
USカリフォルニア州ヴァンナイズ出身。『HALLOWEEN HOOTENANNY』にロブ・ゾンビとのコラボ曲“Halloween(She Get So Mean)”と、単独曲“Banshee Beach”の2曲を提供するなど、当時のロブの強い入れ込みようが伝わってくる。活動歴25年を誇り、今日までにフルアルバムを4枚をリリースしてる。と言っても、リリースは2008年以降止まってる。
彼らのサウンドは、いわゆるサーフロック、ガレージロックにカテゴライズされる。基本、ほぼインストということもあって、自分には幼少の頃よく聴いてた、THE VENTURESを想起させた(笑)。ホラー味濃ゆいSEに曲展開、ブリッブリにディープにリバーブがかかったサウンドメイキング、あまりにチープなオルガン音などに惹かれ、気に入った。
デビューアルバム『A-HAUNTING WE WILL GO-GO』は、1998年にZombie A Go-Go Recordsよりリリースされた。先の『HALLOWEEN HOOTENANNY』は日本盤化されたけど、本作の日本盤化は見事に見送られた。
本作からは“Haulin’ Hearse”のMVが製作されてる。
4thアルバム『UNEARTHED』は2007年にZombie A Go-Go Recordsではなく、おそらく自主レーベルだろう、Ghastly Plastic Corp.からのリリースだ。
このバンドの作品群は現状、7インチシングルやフルアルバムCDを含めてすべて絶版だ。おそらくもともとのプレス枚数が少ないんだろう、とにかく入手困難で、7インチシングルが1枚17,000円以上の高値で売り買いされてたりもする(滝汗)。
もう1組は、『HALLOWEEN HOOTENANNY』に“Fistful of Terror”を持って参加したTHE BOMBORASだ。彼らもまたTHE GHASTLY ONES同様、活動キャリアは長い。
デビューはTHE GHASTLY ONESより一足早く、1995年。1997年には早くも3rdアルバム『ORGAN GRINDER』(日本盤未発売)をDionysus Recordsよりリリースした。
音楽的方向性はホラー味こそほとんどないけど、基本THE GHASTLY ONESのそれと同系統と言える。サーフロック、ガレージロックで、ほぼインストだ。THE VENTURES感は、このTHE BOMBORASの方が強い。
7thアルバム『HEAD SHRINKIN’ FUN』は、1998年にZombie A Go-Go Recordsよりリリースされてる。日本盤化はなかった。
残念ながらYouTubeにもSpotifyにも音源が公開されてない。
YouTubeには“A Fistful Of Terror”のSFタッチなMVと、1998年のロサンゼルスでのライヴが公開されてる。ライヴは客席にいる観客の撮影によるものだけど、とても楽しそうだ。
『HALLOWEEN HOOTENANNY』には参加してないのだけど、CAPTAIN CLEGG AND THE NIGHT CREATURESも興味深い。現時点でZombie-A-Go-Go Recordsからリリースされた最後のアーティスト、作品だ。
ロブ・ゾンビ監督がリメイクしたホラー映画『ハロウィン』の続編『ハロウィンⅡ』(2009年)に登場した架空のバンドだ。
同映画のハロウィンパーティの場に演奏シーンで数回出演した。“Honky Tonk Halloween”のMVが『ハロウィンⅡ』のDVDの初回プレス盤に特典として収録されてる。なお、バンド名は1962年のホラー映画『キャプテン・クレッグ』よりとられてる。
映画に出るわ、CDも出すわで、とても架空のバンドとは思えないのだけど、実はカントリー音楽のシンガー兼ギタリスト、そして俳優のジェシー・デイトンがキャプテン・クレッグ名義でやる。
CAPTAIN CLEGG AND THE NIGHT CREATURESの音楽は、先のTHE GHASTLY ONES、THE BOMBORASとは大きく異なり、多少はホラー風味を放つも、キャッチーなカントリー音楽、サイコビリーだ。全曲歌入りで、バンジョー、マンドリン、バイオリン、ペダルスティール、ピアノ、ウッドベースなどで演奏されてる。MVやライヴ映像も公開されてる。残念だけど、アルバムの音源はYouTubeにもSpotifyにも公開されてない。
ライヴ映像はクレジットによると、ロブ・ゾンビのUSツアー(いつのかは不明)のオープニングアクトを務めたときのものとのこと。ここまでくるともう、“架空のバンド”もないように思えるのだけど(苦笑)。
人によっては初めて知り、聴く音楽だろうけど、楽しんでもらえればと思う。
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